弊所クライアントである芸能事務所さま。
昔も今も芸能事務所の大きな収益源の一つは、コンサートグッズの販売です。
コンサートグッズ(以下、グッズという。)といっても、簡易なものから複雑で高価なものまであります。
グッズは中国などの外国で低コストで製造されていることがほとんどですが、昨今では日本製のものが出回っていたりします。
実はグッズにも知財戦略があるのです。
それも芸能事務所の威信をかけた負けられない知財戦略が・・・。
結論的には、グッズの出願戦略として、
実用新案又は意匠の出願になることが多いです。
理由は早期に実施され、かつライフサイクルが短いグッズが多いから。
これは実用新案の無審査登録制度の趣旨ですね。
デザイン的な価値のあるグッズなら意匠出願を行います。
割合として、実用新案6、意匠3、特許1のイメージ。
芸能事務所のグッズはどこも類似しているように見えますが、これにも理由があります。
芸能事務所が他所の芸能事務所のグッズを模倣したいとは思わないのですが、例えば中国でグッズを製造する際に使用される金型がコピーされて出回ることがあり、必然的に同じ形状やデザインのグッズが出来上がるのです。担当者は知財のことを知りません。
にもかかわらず、芸能事務所は、コンプライアンスを重視していることもあり、他社の知財の侵害には注意しているのが実情です。
対策として、知財の先行調査に加え、自社で出願して登録することがコンプライアンス重視を訴求するための最も効果的な手段になります。
このような経緯で、
芸能事務所では、実用新案や意匠の権利が取得されています。
自社が最先に創作したことの証なのです。
芸能事務所では商標権・著作権が重要なのは言うまでもありませんが、
実用新案権や意匠権の業界毎の活用方法を知ることは、出願戦略においても生きてくるのです。