私が補佐人弁理士として特許侵害訴訟に関与していた事件において、当事者と共に裁判所に出頭し、裁判官からの質問に対して回答していたとき、相手方弁護士から、非弁行為、すなわち弁護士法違反を指摘されたことがある。
しかしながら、弁理士法5条には、以下の規定がある。
「第五条 弁理士は、特許、実用新案、意匠若しくは商標、国際出願、意匠に係る国際登録出願若しくは商標に係る国際登録出願、回路配置又は特定不正競争に関する事項について、裁判所において、補佐人として、当事者又は訴訟代理人とともに出頭し、陳述又は尋問をすることができる。」
特許侵害訴訟(この場合、本案訴訟と仮処分命令申立事件の両方が含まれる。)において、弁理士は補佐人という立場で、当事者とともに裁判所に出頭し、陳述又は尋問することができるわけである。陳述するのはその場での口頭での陳述のほかに、準備書面等で記載したことを陳述することも含まれるものであり、陳述対象である準備書面や証拠説明書等の起案は弁理士は補佐人として何ら制限を受けることはない。
裁判官に対する質問及び回答は自由に行うことができ、弁護士法違反でもない。
弁理士法五条は、本人訴訟に関し、弁理士が補佐人として訴訟行為を行うことを認めているのである。
弁理士は、クライアントの本人訴訟に関し、単独で補佐人として支援することを期待されているのである。