PCT出願してしばらくすると、サーチレポートが送られてきますが、請求項を多面的に展開した場合、単一性がないとして追加手数料納付命令が通知されます。
例えば請求項1~30があり、発明の名称と発明特定事項を各々変えると、例えば発明1~発明5が認められると認定されることがある。
この場合、発明2~5についてサーチレポートを作成して欲しいなら、それに相当する追加手数料を支払えというもの。
たしか2025年当時で追加する発明1件あたり、105,000円。
発明2~発明5の場合、105,000円×4発明追加=420,000円。
結構な金額です。
しかも軽減免除がされないことに注意してください。
PCT出願時に軽減免除申請した案件も、追加手数料納付は軽減免除申請できません。
追加手数料納付命令に対して、出願人ができる対応は下記の①~③。
①無視する
②追加手数料を納付する
③追加手数料全額納付+異議申立
基本的には①で良いです。
この場合、発明1のみのサーチレポートが作成されるだけ。
発明2~5は国内段階に入って、補正や分割で対応すればよい。
②の追加手数料納付をする場合、
全額納付することも可能であるし、一部の発明単位で追加手数料を納付しても良いのです。例えば発明2~発明5に相当する全額を納付しても良く、105000円だけを納付してもよい。
105000円を納付した場合、発明2のみが追加的にサーチレポートの内容に盛り込まれます。このため、発明1と発明2のサーチレポートが出来上がる。一部の追加手数料を納付する場合、認定された発明の順番でサーチレポートがされる。
事案によっては②がおススメ。
例えば、発明のポイントのみを最小限に絞り、挑戦的内容に作成した請求項が複数の分野にまたがる場合、例えば発明1~3の上位請求項だけのサーチレポートを作成してもらう。この場合、発明1~3は間接侵害で問題になる内容になることもあるので、国内段階に入ったときの特許戦略に役立ちます。残りの発明4~5は、発明1~3のサーチレポートの内容をみて特許性を判断できる。
③は意味なし
はっきりいうと異議申立で争うメリットはない。特許庁は追加手数料欲しさに立場を保守する傾向があり、単一性を争っても、特許庁の判断が覆ることは極めて稀だから。仮に単一性の判断が覆っても、特許査定になるわけでもないのであまり意味がない。
この場合、異議申立が認められれば、単一性が認められた範囲で追加手数料の返還が可能になるだけ。
以上から、PCT出願で単一性が否定され、追加手数料の納付命令がきた場合、基本は①の無視する。事案によって②を戦略的に用いる。