中国でも実用新案制度がある。
中国は年間に280万件以上の実用新案出願が出される実用新案超大国でもある。
日本にも実用新案制度がある。
日本では年間1万件にも満たない実用新案弱小国である。
日本では無審査で登録されるため、実用新案権の有効性が低く見られており、あまり活用されないようだ。
実は日本の実用新案権の活用は権利行使だけではないことが、弊所実務において証明されているので、日本の実用新案の効用については別のブログで発表したい。
中国の実用新案に話を戻す。
中国の実用新案は、制度手続として日本の実用新案に近く、基礎的要件+αくらいで登録されている。つまり実体審査はされない。
このブログを書いている時点では、中国特許の特許審査は、日本の特許審査よりもハードルが高くなっており、中国で特許にすることは日本のそれよりも難しい。
それと比較して、中国実用新案は、基礎的要件+αで登録されているため、出願前から高い確度をもって権利化を期待できる制度である。
だからといって、中国実用新案も、日本の実用新案と同様に信頼性がないと考えてしまう日系企業の経営者がいたら、注意した方がよい。
結論からいえば、中国の実用新案権の権利行使は、日本のそれと比較にならないほど強い。とても強力な権利。
理由は中国の実用新案は新規性・進歩性などの実体審査がされずに登録されるものの、なんと無効になり難いのである。
そんなアホな?という感想をお持ちの方は正常な感覚の持ち主だ。
中国では日本人の常識では考えられないことが多々起こる。中国実用新案もそのようなタイプのひとつであろう。
なので中国の実用新案で権利行使された場合、日本のように無効な権利とたかをくくるのは自殺行為に等しい。
逆をいえば、中国は特許審査が日本のそれよりも難しいため、実用新案で権利化する戦略も有効になるわけだ。
中国知的財産庁は中国共産党の下に置かれた省であるため、中国共産党の威厳にかけて知財制度が出来上がっている。当然、権利の強さも、その流れをくむものであるため、中国実用新案で権利行使を貰ったときは、特許と同程度の注意が必要なのである。